夜明け前、阿蘇の外輪山を渡る風が、まだ眠たい僕のまぶたをそっと撫でていく。
車の窓を少し開けると、冷えた空気に混じって、湿った土と針葉樹の匂いがふっと入り込んだ。
「今日こそは、誰にも邪魔されずに焚き火と向き合いたい」──そんな思いを胸に、僕はハンドルを熊本の山奥へと切った。
アウトドアメーカー時代から、取材とプライベートを合わせて熊本のキャンプ場を何十カ所も巡ってきた。
地図にもガイド本にもほとんど名前が出てこない“秘境系キャンプ場”ほど、ソロキャンパーにとっての宝物になることを、僕は何度も体で学んできた。
“秘境”と呼ばれる場所には、必ず静寂がある。
その静寂は、ときに街の喧騒よりも雄弁に、僕たちに語りかけてくる。
焚き火のパチッという音は、心のざわめきを浄化する。──延べ300泊以上のキャンプを重ねてきた今でも、その感覚だけはまったく色あせない。
この記事では、アウトドアライターでありキャンプギア評論家としての視点から、熊本県の中でもソロキャンパーが静かに籠れる“秘境系・穴場キャンプ場”を厳選して紹介する。
阿蘇の森、高原の風、天草の海──実際に足を運び、焚き火を熾し、夜を過ごしてわかった「本当にひとりになれるフィールド」だけをピックアップした。
Googleマップでは見つけづらい場所も多いからこそ、アクセスや装備、マナーまで含めて、あなたが安心して“孤独を楽しめる夜”にたどり着けるよう、じっくり丁寧に案内していこう。
1. 熊本でソロキャンパーが求める「静かに籠れる場所」の条件

まず大前提として、「熊本でソロキャンプの穴場を探すとき、どんな条件で選べば失敗しないか」。
ここを押さえておかないと、せっかく山奥まで走ったのに「となりのグルキャンが朝までカラオケだった…」なんて悲劇も起こります。
僕自身、アウトドアメーカー時代から取材と遊びを合わせて、熊本県内だけで30カ所以上のキャンプ場を回ってきましたが、“静かに籠れる場所”には共通点があるんですよね。
熊本県公式観光サイト「もっと、もーっと!くまもっと。」でも、阿蘇・天草・人吉球磨エリアを中心としたキャンプ場特集が組まれていて、
海あり山あり離島あり、とにかくフィールドのバリエーションが豊富です。
さらにキャンプ場検索サイト【なっぷ】熊本のキャンプ場一覧を見ると、100件を超えるキャンプ場が登録されていて、ソロキャンパー向きの静かなキャンプ場も確実に増えてきているのがわかります。
その中から「これはソロで籠る価値アリ!」と僕が判断するときに、必ずチェックしているポイントを共有しますね。
● ソロキャンパーが「静かに籠れる場所」を判断するチェックポイント
- サイトの間隔が広いか:
これは体感的にいちばん重要。区画サイトなら、タープを張ってもお隣の会話が丸聞こえにならない距離があるかどうか。
フリーサイトなら、早めに入れば「テント3〜4張り分くらいの空白」をつくれる余白があるかどうか。
僕は現地に着いたらまず一周歩いて、「実際にテントを張ったときの距離感」を必ずシミュレーションします。 - 周囲の環境:
静けさを決めるのは、キャンプ場の中だけじゃないんですよね。
たとえば、すぐ横を県道が通っているキャンプ場は、夜になってもトラックの走行音が響いたりします。
一方で、阿蘇や山都町の山あいにあるようなキャンプ場は、夜になると本当に「風の音と焚き火の音だけ」になる。
街灯が少ない場所は星空と月明かりがよく出るので、ランタンの灯りと合わせて“籠り感”が一気に高まります。 - 標高・地形:
高原サイト(服掛松キャンプ場のような標高600mクラス)だと、風が抜けて音がこもりにくいんですよ。
逆に、谷間の林間サイトは音が反響しやすい反面、風が弱いので冬でも焚き火が安定しやすい。
僕は「今日は焚き火と星をガッツリ楽しみたい」日は高原、「しっとり籠ってコーヒーと本を楽しみたい」日は谷間の林間を選ぶことが多いです。 - ソロ・デュオ専用サイトの有無:
最近の熊本は、この点がかなりアツいです。
たとえば山都町の服掛松キャンプ場 公式サイトを見ると、ソロ・デュオ専用の「フォレストサイト」が用意されています。
ここは「1人、または家族2人まで」といった利用制限を設けることで、あえてグループを入れず静かな環境を守る運営をしているんですよね。
こういう“ソロ歓迎”を明言しているキャンプ場は、現場の雰囲気も落ち着いていることが多くて、かなり信頼度高めです。 - 利用ルール:
消灯時間、直火の可否、スピーカー利用のルールなどは、静けさに直結する重要情報。
「22時以降はお静かに」「スピーカー利用NG」と明記しているキャンプ場は、ソロキャンパーにとってかなり心強い存在です。
僕は予約前に、公式サイトやなっぷの施設情報欄をざっと見て、“静けさを大事にしている運営かどうか”をチェックしています。
「静か」という言葉が、ここでは最大の贅沢になる。
僕がソロで熊本に入るときは、まず「熊本 ソロキャンプ 穴場」や「熊本 秘境 キャンプ場」みたいなロングテールキーワードで候補を洗い出します。
そのうえで、なっぷのキャンプ場個別ページや口コミ欄を読み込みながら、
「静かに過ごせた」「大人向け」「落ち着いた雰囲気」といったワードが出てくるかを、かなりしつこくチェックします。
経験上、人に教えたくない熊本の穴場キャンプ場って、派手にバズっている場所よりも、
予約サイトの口コミに「さらっと、でも熱量高め」に書いてあることが多いんですよ。
たとえば、
「星がきれいで、夜は本当に静かでした」
「大騒ぎする人が少なくて、ひとりの時間を満喫できた」
みたいなコメントが複数ついているところは、僕の中で“ソロで行く価値アリ”フラグが立ちます。
こうやって事前に情報を掘り下げておくと、現地でテントを張った瞬間に
「よし、今日のフィールド選びは勝ちだな」
って、ちょっとニヤッとできるんですよね。
この記事では、そんな“勝てるフィールド選び”の感覚も、僕の実体験込みでぜんぶシェアしていきます。
2. 茶屋の原キャンプ場|阿蘇の森に抱かれる静寂のフリーサイト

阿蘇エリアで「とにかく広くて静かなフリーサイト、ない?」と聞かれたら、僕がまず名前を出すのが茶屋の原キャンプ場です。
場所は熊本県阿蘇郡南小国町・瀬の本高原ど真ん中。公式サイトや熊本県公式観光サイトでも紹介されていますが、阿蘇五岳やくじゅう連山を一望できる、42haクラスのとんでもなく広いフリーサイトです。
実際に初めて行ったとき、「あ、これテント何張りいけるんだろ…」って素で笑いました。
場内は全面オートフリーサイトで、どこも基本的に車の横付けOK。周りは牧草地と林に囲まれていて、視界に入る人工物が本当に少ない。
さらに場内を小川がスッと通っていて、サイトの上段・中段・下段で雰囲気がガラッと変わるんです。
「フリーサイト好き」「レイアウト考えるのが好き」なソロキャンパーには、たまらない遊び場だと思います。
● 茶屋の原キャンプ場の“ここが刺さる”ポイント
- とにかく広いフリーサイト & 車横付けOK
公式情報でも「敷地内は全てオートフリーサイト」と明記されているくらい、とにかく自由度が高いキャンプ場です。
僕はいつも、まず車でグルッと一周してから、「今日はここだな」という場所を決めてます。
ソロならテント3〜4張り分くらい空けてポツンと張れるので、周りの音が一気に遠くなる感覚があります。 - 人工物が少ないロケーションだから、夜が“ちゃんと暗い”
茶屋の原の良さって、景色だけじゃなくて「暗さ」なんですよ。
周囲に高い建物も街灯もほとんどなくて、なっぷのレビューでも「たき火と真っ暗な夜を楽しめました」と書かれているくらい。
実際、僕もここで月齢の若い夜を過ごしたとき、焚き火とランタンの光だけで本当に十分でした。星もよく出るので、夜になると「うわ、来てよかった…」ってなる系のキャンプ場です。 - 高低差のある地形と、阿蘇らしい“抜け”
サイトはゆるやかな高低差があって、
・上段:外輪山や高原を遠くまで見渡せて、景色重視の人向き
・中段:視界が開けつつも、ほどよく落ち着いた感じ
・下段(川沿い):風が弱くて、音もこもりやすく“籠り感”が強い
という感じで、同じキャンプ場なのに3パターンのソロキャンプが楽しめます。
僕は風が強そうな日は川沿いの下段、星をガッツリ撮りたい日は上段、みたいな感じで選んでます。 - 大人向けの落ち着いた雰囲気
ファミリーももちろん来ますが、口コミでは「大人のキャンプ場」と表現されることも多くて、実際、
・夜遅くまで大騒ぎするグループが少ない
・ソロや2〜3人のグループが多くて、全体的にトーンが静か
という印象です。
僕が行ったときも、焚き火のパチパチ音と、少し離れたサイトからの笑い声がたまに届くくらいで、「しっかり静かだけど、完全な無音ではない安心感」が心地よかったですね。
僕がここでテントを張った日は、ちょうど月齢の若い夜でした。
焚き火台に薪をくべると、パチッと火花が飛んで、周りは本当に真っ暗。
でも、怖さよりも先に来たのは「あ、今ちゃんと一人だな」っていう、妙な開放感でした。
炎の明かりの外側に広がる闇が、自分の世界をふわっと区切ってくれる感じ。
ソロキャンプで“自分だけの部屋”を外に持ち出したい人には、かなり刺さるはずです。
● ソロキャンパー向けの楽しみ方&注意点(ガチ目)
- 平日 or オフシーズンの平日インがねらい目
連休や夏休みはファミリーも増えるので、「静かに籠りたいソロ」はできれば平日インがベスト。
僕はだいたい、平日の昼過ぎに入って、好きな場所をゆっくり選ぶスタイルです。 - 谷筋サイトは冷え込むので、防寒は1ランク上を
川沿いの下段サイトは風が弱くて焚き火はとてもやりやすいんですが、そのぶん冷気もたまりやすい。
春秋でも「天気予報 −5℃」くらいの装備でちょうどいいくらいです。
僕はここに来るときは、必ず厚手フリースか薄手ダウンを1枚多めに持っていきます。 - 地面コンディションに要注意(特に雨上がり)
サイトの多くは芝&土で気持ちいいんですが、雨量が多いときは場所によってはぬかるみます。
雨上がりの日は、水が流れ込んできそうな窪地を避けて、高めの場所を選ぶのが基本。
僕は一度、少し低い場所に張って夜のスコールでタープ下がミニ川になりかけてから、地形チェックをかなり真剣にするようになりました(笑)。 - 焚き火はルールとマナーをしっかり守って楽しむ
直火については時期や情報源によって記載がブレるので、基本スタンスとしては焚き火台+耐熱シート前提で考えるのがおすすめ。
最近は環境保全の観点からルールが変わることも多いので、現地で必ず最新の指示を確認しておきましょう。
「人が去った後の静寂の中で、焚き火の暖かさがじんわりと沁みていく。」
茶屋の原は、そういう時間を思う存分味わえる“阿蘇の隠れ家ベースキャンプ”みたいな場所です。
● 茶屋の原キャンプ場について、友だちによく聞かれる質問
ここからは、僕が実際に友だちキャンパーからよく聞かれる質問に、そのまま答えるスタイルでまとめておきます。
- Q. ソロ初心者でも茶屋の原ってアリ? ワイルドすぎない?
- A. 全然アリです。
完全な森の中の野営地というよりは、「設備ありの広大フリーサイト」なので、炊事棟やトイレ、自販機などの基本インフラはきちんと揃ってます。
ただし、サイトがめちゃくちゃ広いので、「どこに張るか問題」でちょっと迷うかも(笑)。
最初は管理棟から見える範囲のフラットな場所に張って、慣れてきたら川沿いや奥のエリアにチャレンジする感じが安心です。 - Q. 一人で行って寂しくならない? 夜怖くない?
- A. 正直言うと、「真っ暗」が苦手な人は最初ちょっとドキッとするかもしれません。
でも、他のサイトの灯りや焚き火がポツポツ見えるので、完全な“誰もいない闇”ではないんですよね。
僕は寂しさよりも「この空間を自分のペースで使える」というワクワクのほうが大きくて、
焚き火しながらコーヒーを淹れているうちに、「あ、ここしばらく定期的に来よ」と決めたくらいです。 - Q. 装備で「これは絶対持って行ったほうがいい」って何?
- A. 僕の鉄板はこの3つです。
・しっかりしたペグ&ハンマー(土が柔らかい場所もあるので、抜けにくいもの)
・グランドシート+耐熱シート(雨上がりと焚き火対策)
・暖かい上着1枚多め(標高高め&川沿いは冷える)
これがあるだけで、不意の天候変化や冷え込みにもかなり余裕を持って対応できます。
3. 服掛松キャンプ場|標高600mの高原にある“ソロ向け静寂サイト”

「熊本で、高原の風を感じながら静かに籠れるところない?」と聞かれたら、僕が真っ先に挙げるのが山都町の「服掛松(ふくかけまつ)キャンプ場」です。
九州のちょうど真ん中あたり、標高約600mの高原に広がる芝生サイトからは、阿蘇・九州中央山地をぐるりと見渡せる絶景ロケーション。
詳しくは公式サイトを見てもらうと早いんですが、敷地は約20,000坪・フリーテントサイトだけで5エリア・テント100張クラスというスケール感で、「高原キャンプってこういうことだよね」と言いたくなるフィールドです。
なかでもソロキャンパー的にグッと来るのが、複数のフリーサイトに加えて用意されている「ソロ・デュオ専用エリア(フォレストサイト)」の存在。
予約ページを見てみると、ここは「静かな時間を過ごすため、1人または家族2人まで(幼児含む)」という利用制限付き。
あえて人数を絞ることで、賑やかなグルキャンとエリアを分け、「静けさを楽しみたいキャンパーの場所」をちゃんと確保してくれている。
この運営ポリシーだけで、僕の中ではかなり信頼度マックスです。
● フォレストサイト(ソロ・デュオ専用)の“ここが刺さる”ポイント
- 木立に囲まれた林間サイトで、とにかく音がやさしい
フォレストサイトは、名前の通り木にぐるっと囲まれた林間エリア。
風が吹くと葉っぱ同士がこすれ合う音がBGMになって、車の騒音や町の音はほぼ聞こえてきません。
僕が泊まったときは、夕方になると鳥の鳴き声がふっと消えて、代わりに風の音と自分の足音だけになる時間帯があって、「あ、今スイッチ入ったな」と感じました。 - 夜間照明ほぼナシ=ランタンと星にどっぷり浸かれる
場内全体的にそうですが、フォレストサイト周辺は必要最低限の灯りだけ。
ランタンを一つつけると、その光が自分のテントサイトの“部屋の明かり”みたいな役割になって、そこから先は真っ暗な森。
正直、最初はちょっとドキッとするんですが、慣れてくるとこの暗さが最高のスパイスになります。 - 少しクセのある傾斜地だからこそ、ソロテントがハマる
フォレストサイトは全体的にフラットというより、「場所ごとにちょっとずつ傾斜が違う」タイプ。
そのぶん、大型のファミリーテントよりも、ソロ~デュオサイズ(おおよそ2m×2mくらい)のテントが使いやすいんですよね。
「ここ、斜めだけどコットならいけるな」「この木と木の間、タープ張ったらめちゃ雰囲気出るな」みたいな妄想が止まらなくて、設営前からちょっと楽しいエリアです。 - 駐車場から少し歩く=だからこそ静かになる
フォレストサイトは車の横付けではなく、駐車場から徒歩でサイトインするスタイル。
キャリーカートや軽量ギアがあるともちろん楽ですが、その分だけ車の出入り音やドアの開け閉め音が減るので、静けさがキープされやすいんです。
僕はここに来るときは「今日は本気ソロ仕様で行くか」とギアを絞って持っていって、“背負える範囲で完結するキャンプ”を楽しんでいます。
個人的に好きなのは、夜の気温がスッと落ちる瞬間。標高600mだけあって、日が落ちると一気に空気が変わります。
焚き火の炎が落ち着いてきたタイミングでシュラフに潜り込むと、遠くでフクロウが一声鳴いて、そのあとはテントを叩く風の音だけ。
「籠るって、逃げることじゃなくて、ちゃんと自分のところに還ってくることなんだな」と、ちょっとしみじみした夜でした。
● ソロキャンパー向けの装備メモ(服掛松バージョン)
- 防寒は“ひとクラス上”を前提に
標高600mクラスなので、春秋でも平地の感覚で行くと普通に寒いです。
僕は「平地で3シーズン装備でOKな気温でも、服掛松なら+ダウン1枚」が基本。
夜に焚き火から離れて星を見上げる時間を楽しみたいなら、インナーとネックウォーマーもあると安心です。 - ランタンは“メイン+手元用”の2灯構成がおすすめ
林間サイトは日が落ちると一気に暗くなるので、
・サイト全体をふわっと照らすメインLEDランタン
・焚き火周りや調理で使う手元用ランタン or ヘッドライト
この2つがあると、ストレスなく過ごせます。
公式サイトのレンタルページでもLEDランタンが用意されているので、「荷物を増やしたくない」という人はレンタルもアリ。 - 薪は“ゆっくり燃える太め”をチョイス
静かな夜を楽しみたいなら、細かくパチパチ燃える薪より、太めでじっくり燃える薪のほうが向いています。
服掛松の売店でも薪が購入できるので、現地調達して「今夜は長丁場だから太め中心で」みたいに組み立てるのも楽しいですよ。
● 服掛松キャンプ場について、友だちによく聞かれる質問
ここからは、僕がキャンプ仲間からよく聞かれる質問を、そのままQ&Aでまとめておきます。
- Q. フォレストサイトって、ソロ初心者でも大丈夫? 難易度高くない?
- A. 全然大丈夫です。
たしかに車横付けじゃなかったり、少し傾斜があったりと“野営っぽさ”はあるけれど、
炊事棟やトイレ、シャワー、売店などの設備はしっかり整っているので、「高規格×ちょいワイルド」くらいのバランスです。
テント設営と焚き火の基本ができていれば、ソロ2〜3回目でも十分楽しめると思います。 - Q. ソロで行って、本当に静かに過ごせる? ファミリー多くない?
- A. フリーサイトのエリアはシーズンによってファミリーも多いけれど、フォレストサイトはそもそも人数制限があるので、かなり静かです。
僕が泊まったときも、夜はみんな焚き火の前で小さな声で喋るくらいで、23時前にはほぼ無音。
「静かなキャンプがしたい人」が自然と集まるエリアなので、ソロ同士の距離感も心地いいですよ。 - Q. 装備で「これは絶対持って行け!」っていうものは?
- A. 僕の“服掛松三種の神器”はこれです。
・暖かめの寝袋+インナーシュラフ(冷え込み対策)
・ヘッドライト(トイレや炊事棟への移動が一気に楽になる)
・キャリーカート or しっかりしたバックパック(フォレストサイトまでの荷運び用)
これさえあれば、あとは好きなギアを詰め込んでOK。
「荷物を運び込んで、テントを立てて、椅子に座った瞬間に風がスッと抜ける」あの感じを、ぜひ体験してほしいです。
4. 球磨・天草の秘境エリア|本当に教えたくないソロ向け穴場
阿蘇や山都もいいんですが、「もうちょっと尖ったロケーション行きたいんだよな…」ってソロキャンパーにゴリ押ししたいのが、球磨・天草エリアです。
山の奥・海のはしっこ・湖畔と、ちょっと移動するだけで景色も音もガラッと変わるので、同じ熊本とは思えないくらいキャンプのバリエーションが広がります。
僕自身、ここ数年は取材と自分のソロ旅をかねて何度も通っているんですが、
「正直あんまり広めたくないな…」と思いつつ(笑)、ソロ目線で“本当に教えたくない系”のロケーションをいくつかピックアップしてみます。
公式情報としては、たとえば天草市新和町の山頂にある竜洞山みどりの村キャンプ場 公式サイトでは、
「不知火海を望み、その奥に九州本土を一望」「海と山を一度に体験できる隠れ処的キャンプ場」と紹介されています。
一方、山都町側の井無田高原キャンプ場(山都町公式)は、
阿蘇外輪山の南裾野にある高原&池&松林のロケーションで、夏でも朝夕は肌寒いくらいと記載されていて、まさに“避暑地キャンプ”そのもの。
天草側は「海+山+島」の組み合わせがエグいです。
・山頂から海を見下ろす 竜洞山みどりの村
・白嶽山頂から360度パノラマが楽しめる 白嶽森林公園キャンプ場
・海水浴とキャンプが同時に楽しめる 諏訪公園キャンプ場
……と、ソロでも「今日は山ビュー」「今日は海前」「今日は高原で涼む」と、その日の気分でフィールドを選べるのが最高なんですよ。
球磨・山都側では、井無田高原キャンプ場(熊本県公式観光サイト)のように、
高原の真ん中に池があって、その周りを松林が囲んでいる“しっとり系フィールド”もあって、阿蘇のダイナミックさとはまた違う落ち着きがあります。
夏場でも朝夕は「普通にフリース欲しいな…」レベルの涼しさなので、避暑もかねたソロキャンプにはかなりハマります。
このあとのパートでは、「山頂から海を見下ろしながらソロ焚き火できる天草」と、「湖畔×高原×星空の井無田高原」を、
僕が実際にテントを張って「うわ、ここヤバい」と感じたポイント込みで、がっつり掘り下げていきます。
● 天草・竜洞山みどりの村キャンプ場(天草市新和町)

天草で「海も山も一気に味わえるキャンプ場ない?」と聞かれたら、僕がニヤッとしながら出すカードが「竜洞山みどりの村キャンプ場」です。
場所は天草市新和町、標高400mオーバーの山頂エリア。公式サイトにも書かれているとおり、不知火海と、その向こうの九州本土(鹿児島・熊本)をまとめて見下ろせる、かなり反則級のロケーションなんですよ。
初めて行ったとき、サイトに車を停めて振り返った瞬間に
「いや、これキャンプ場っていうより展望台じゃん…」
って素で声が出ました。
朝は海の向こうから日が昇ってきて、夕方はオレンジ色になった太陽がそのまま海に沈んでいく。
その一部始終を、テント前のチェアからボーッと眺められる。これが竜洞山の最大のごちそうです。
サイトはフリーテントエリア+オートキャンプサイトが用意されていて、詳細は公式の「宿泊施設紹介」ページにしっかり載っています。
フリーテントエリアは中央と北側に各10張ほど、木々に囲まれた南側にもいくつか張れるスペースがあって、「海ビュー寄りで開放感重視」か「林間寄りでちょっと籠り気味」かを自分で選べるのがポイント。
シャワー棟や炊事場が管理棟近くにまとまっているので、ワイルドすぎず“ちょうどいい不便さ”に収まっている印象です。
ハイシーズン(GW・夏休み)はファミリー利用でにぎわいますが、平日ソロで行くと一気に空気が変わります。
僕が平日に入ったときは、周りもソロかデュオばかりで、互いに干渉せず、でも完全に孤立もしないあの絶妙な距離感。
「みんなそれぞれの焚き火と向き合ってるな…」っていう雰囲気がすごく心地よかったです。
注意点としては、ここガチで山頂付近なので、とにかく風が抜けます。
・タープは低め&ペグ多め
・焚き火台は風下に風防+火の粉ケア
この2つは絶対意識したほうがいい。
一度、僕も「今日は穏やかだし余裕っしょ」と油断してタープを高めに張ったら、夜の突風でペグが一本抜けかけて、かなり焦りました(笑)。
でも逆に言うと、風のおかげで夏場でも夜はかなり涼しくて、「海を見下ろしながら避暑キャンプ」ができるのは竜洞山ならではです。
● 竜洞山みどりの村キャンプ場|ソロ目線の推しポイントまとめ
- 山頂ビュー:テント前から不知火海&九州本土を見下ろせる
- 選べるサイト:海寄りの開放ビュー or 林間寄りのしっとりエリア
- 設備バランス良し:シャワー・炊事場・トイレ・バンガロー・ケビンも完備
- 平日ソロが最高:ハイシーズンを外すと“一人展望台キャンプ”感が増す
- 風と日差しが強め:タープ・焚き火のセッティングにひと工夫が必要
● 竜洞山みどりの村キャンプ場について、友だちからよく聞かれる質問
- Q. 高台って聞くと、風とか設営が不安…ソロでも大丈夫?
- A. ちゃんと準備すれば全然大丈夫。
基本は「低く・強く・シンプルに張る」だけ意識すればOKです。
タープはポールを高くしすぎず、ペグも通常より2本くらい多めに。テントも風下側のガイロープをしっかり張っておけば、よほどの暴風じゃない限り問題ありません。
山頂といっても岩場のピークではなく、整地されたキャンプ場なので、ペグも普通に刺さります。 - Q. ソロで行って“うるさい雰囲気”だったら嫌なんだけど…
- A. これは行くタイミング次第ですね。
竜洞山はファミリー人気も高いので、GW・夏休み・連休はそれなりに賑やかになります。
一方で、僕が行っているのはだいたい“平日のポツンとした日”なので、ソロ率高めでかなり静かです。
「静かに籠りたい」なら、平日+オンシーズン少し外した時期(5月後半〜6月、9〜10月あたり)を狙うのがおすすめ。 - Q. 設備的にはどう? ワイルドすぎるのはちょっと…
- A. その点は安心してOK。
公式サイトや天草の観光サイトにもある通り、バンガロー・ケビン・オートキャンプ・フリーテント・シャワー棟・炊事場・トイレと、必要なものは一通り揃っています。
僕の感覚だと、「ロケーションはかなりワイルド寄りだけど、中身はちゃんとキャンプ場」というバランス。
いきなりガチ野営は怖いけど、“人里からほどよく離れた山キャンプ”に挑戦したい人には、入門としてちょうどいいと思います。 - Q. 装備で“竜洞山にだけは絶対持っていきたいもの”って何?
- A. 僕のマストはこの3つです。
・風に強いタープ(またはシェルター)
・サングラス or キャップ(日差し&西日がかなり強い日がある)
・防風性高めの上着(気温以上に風で体温を持っていかれます)
これさえあれば、「海を見下ろす山頂ソロキャンプ」というご褒美ロケーションを、かなり快適に楽しめるはずです。
● 上天草・白嶽森林公園キャンプ場&諏訪公園キャンプ場

「天草で、森キャンプと海キャンプどっちも気になるんだよね」と言われたら、僕がセットで推すのが
白嶽森林公園キャンプ場と諏訪公園キャンプ場です。
どっちも上天草市の施設で、公式情報は
・白嶽森林公園キャンプ場:上天草市公式ページ/上天草市野外施設キャンプ場サイト
・諏訪公園キャンプ場:上天草市公式ページ/上天草市野外施設キャンプ場サイト
あたりを見てもらうと、雰囲気がつかみやすいと思います。
ざっくり言うと、白嶽=森と山のキャンプ場/諏訪=海と砂浜のキャンプ場。
同じ上天草なのに、まるで別エリアに来たみたいにキャンプ体験が変わるので、ハマる人は本気でハマります。
白嶽森林公園キャンプ場|“観海アルプス”の中腹でしっぽり森キャンプ
白嶽森林公園は、標高373mの白嶽山を中心に広がる自然公園の中にあるキャンプ場。
熊本県公式観光サイトでも、総面積50haの自然公園で、高地湿原や巨石群が点在するスポットとして紹介されていて、いわゆる“観海アルプス”と呼ばれる縦走ルートの中間地点でもあります。
場内には、公式情報どおり
・4名用バンガローが10棟
・8名用の常設テントが3張
・テントサイトが約10区画
という構成で、「別荘感覚で使えるバンガロー+しっかり山キャンプできるテントサイト」というバランス。
僕はテント派ですが、天気が怪しいときはあえてバンガローにして、デッキ前でソロ焚き火しながら過ごすのも好きです。
白嶽のいいところは、「森の中で静かに籠れるのに、周辺に遊び要素がけっこうある」ところ。
山頂からは360度パノラマが広がるし、公園内には不動の滝や矢岳巨石群、九州自然歩道のトレッキングコースもあるので、
昼はがっつり歩いて、夜はしっとりソロ焚き火、みたいなメリハリのある一日を組みやすいです。
諏訪公園キャンプ場|砂浜のすぐ裏で“波音キャンプ”できる海辺サイト
一方で諏訪公園キャンプ場は、性格がまったく違います。
場所は姫戸町二間戸、目の前に広がるのは諏訪海水浴場。上天草観光サイトの説明どおり、
緑の木陰と白い砂浜のコントラストが気持ちいい、“キャンプと海水浴が同時に楽しめる海辺のキャンプ場”です。
テントサイトのすぐ裏が砂浜なので、波の音がほぼ常時BGM。
夕方、タープの下で焚き火を熾しながら海を眺めていると、「あれ、これ本当に熊本だよね?」って毎回なるくらい、リゾート感あります。
夜になると周辺の灯りも少なくなって、波音と焚き火のパチパチ音だけが残る時間帯があって、あそこは本当にクセになります。
設備面では、上天草市公式ページにもあるように、持ち込みテントサイト(約10張)+水シャワー・更衣室・トイレ完備。
車の乗り入れもOKなので、ソロでもギアをしっかり持ち込んで“海辺ベースキャンプ”を作り込みやすいのもポイントです。
「熊本の大地に、僕だけの焚き火の光をともした夜」
天草の海辺キャンプって、ほんとこの一文がしっくり来るんですよね。
ただひとつ覚えておいてほしいのは、海風は季節問わず意外と冷たいということ。
夏でも焚き火にあたっているうちに身体の芯が冷えてくることがあるので、防風シェルターやウインドシェルは一年中バックパックに常備しておくのがおすすめです。
白嶽&諏訪について、友だちからよく聞かれる質問
- Q. 森キャンと海キャン、どっちから攻めるのがおすすめ?
- A. 初めてなら、「白嶽で1泊 → 諏訪で1泊」のハシゴが最高です。
1日目に白嶽でトレッキング&森キャンプで身体をほぐして、2日目に諏訪で海を眺めながらダラっとする流れ。
時間が1泊しかないなら、静かに籠りたい人=白嶽/ロケーション重視+写真映え=諏訪で選ぶといいと思います。 - Q. ソロでも浮かない? ファミリーばっかりじゃない?
- A. ハイシーズンはどちらもファミリー多めですが、平日やシーズン少し外したタイミングならソロも普通にいます。
特に白嶽はトレッキング目当てのソロも多くて、「昼は山、夜は焚き火」という同じリズムの人が集まりがち。
諏訪も、夏のトップシーズンを外せば、一人で波音キャンプを楽しんでいる人をよく見かけます。 - Q. 装備で意識しておいたほうがいい違いってある?
- A. あります。ざっくり言うと、
・白嶽:山用の防寒+歩きやすい靴(トレッキング前提)
・諏訪:防風シェル+サンダル(砂浜&海遊び前提)
白嶽は標高があるぶん朝晩冷えやすいので、春秋はフリースかライトダウン必須。
諏訪は風対策をしつつ、足元はサンダルのほうが圧倒的に快適です。 - Q. 「静かに籠る」という意味では、どっちが向いてる?
- A. 個人的な感覚だと、ガッツリ静けさを味わいたいなら白嶽です。
森に囲まれているので、夜は本当に静か。焚き火の音と、たまに遠くの車の音が聞こえるくらい。
諏訪はどうしても波音が常に鳴っているので、「静寂」ではなく「自然の音に包まれる感じ」が好きな人向けですね。
● 高原&湖畔の穴場:井無田高原キャンプ場など

「阿蘇エリアはもう何カ所か行ったし、次は“静かな高原系”攻めたいんだよね」と言われたら、僕がまず候補に出すのが山都町の「井無田高原(いむたこうげん)キャンプ場」です。
場所は阿蘇外輪山の南裾野。公式情報は山都町の観光ページや、熊本県公式観光サイトのスポット紹介を見てもらうとわかりますが、高原のど真ん中に「井無田池」という大きな池がドンとあって、その周りを芝生と松林がぐるっと囲んでいるんですよ。
実際に行ってみると、「あ、ここは“高原×湖畔”のハイブリッド型キャンプ場だな」とすぐわかります。
・池のすぐそばの湖畔寄りサイトでは、朝一に水面をスーッと渡る風と鳥の声が最高の目覚ましになるし、
・少し高台側に上がった高原サイトからは、芝生越しに井無田池と周りの松林を一望できる。
同じフィールドなのに、テントを張る場所でキャンプの“表情”がガラッと変わるのが、このキャンプ場のいちばんおもしろいところです。
僕が気に入っているのは、「高原の涼しさ」がちゃんと体感できること。
公式にも「夏でも朝夕は肌寒く、昼間でも涼しい」と書かれているとおり、真夏でも夕方になると一枚羽織りたくなるくらい気温が落ちるんですよね。
日中は芝生サイトでダラっとして、夕方からは上着を着て焚き火をじっくり楽しむ──そんな夏キャンプができる場所って、熊本だと意外と貴重です。
場内はフリーテントサイト中心のシンプル構成で、芝サイト×車乗り入れ可(時期や状況次第)という組み合わせ。余計な遊具や人工物が少なくて、
「きれいに整備された芝生と、池と、松林」
というミニマルな景色がずっと続きます。
僕はここを“静かにチルアウトするための高原ベースキャンプ”みたいな位置づけで使っていて、ハードに遊び込むというよりは、ゆっくり本読んだりコーヒー淹れたりする日に選ぶことが多いです。
池ではブラックバスやコイ釣りを楽しむ人もいて、朝晩の湖畔散歩がこれまた気持ちいい。
ちょっと車を走らせれば清和高原天文台があるので、星空を狙いたい夜は、「昼は井無田でキャンプ → 夜は天文台で星を見る」なんて贅沢なハシゴもできます。
井無田高原キャンプ場について、友だちからよく聞かれる質問
- Q. 井無田って、ソロ初心者でも行きやすい? ワイルドすぎない?
- A. 個人的にはかなり行きやすい部類だと思います。
トイレ・炊事棟・シャワーなど基本設備はちゃんと揃っていて、サイトも芝がメイン。
いわゆる「ガチ野営」というよりは、ほどよく整った高原キャンプ場です。
ただし、売店的なものはシンプルなので、食材や飲み物は事前にしっかり買い込んでから向かったほうが安心ですね。 - Q. 湖畔と高原、どこに張るのがおすすめ?
- A. 初めてなら、まずは高原寄りの少し高い場所を推します。
理由はシンプルで、
・眺めがいい(池とサイト全体を見渡せる)
・水際よりも地面が乾きやすい
・朝晩の冷え込みもマイルド
という三拍子が揃っているから。
湖畔ギリギリはロケーション最高なんですが、雨のあとや朝露で地面がかなり湿ることもあるので、2回目以降の“通い慣れたタイミング”で攻めるのがいいと思います。 - Q. どんな装備で行けばいい? 他の高原キャンプと違うポイントある?
- A. 井無田に関しては、「夏でも防寒はケチらない」が合言葉です。
・フリース or 薄手ダウン
・長袖インナー
・ネックゲイター or マフラー
このあたりを一式持っていくと、朝夕の冷え込みにも余裕があります。
加えて、防水性のある靴があると、朝露で芝がしっとりしていても気にならずに歩き回れますよ。 - Q. 「熊本 ソロキャンプ 穴場」で探すと、他にどんなタイプのフィールドがある?
- A. 僕のおすすめは、同じ熊本県内でもロケーションのタイプを変えて巡ることです。
たとえば、
・標高が高い場所 … 服掛松キャンプ場や井無田高原のような高原サイトで、涼しさと星空を楽しむ。
・海に近い場所 … 竜洞山みどりの村や諏訪公園キャンプ場で、海を見下ろしたり波音を聞きながら焚き火をする。
・川沿いの林間 … 茶屋の原キャンプ場の谷筋サイトのような、しっとり系ロケーションでコーヒー片手に本を読む。
こんな感じで“ロケーション別ソロキャンプ”を意識して回っていくと、「ここは自分の隠れ家にしたいな」と思えるフィールドに出会いやすくなります。
5. 秘境系キャンプ場に行く前に知っておきたい注意点

秘境系・穴場キャンプ場って、ロケーションも静けさも最高なんですが、その裏側にはだいたい「アクセスと設備のワイルドさ」がセットで付いてきます。
僕も熊本の山間部や天草の奥地をあちこち回ってきましたが、「あ、これ普通の旅行気分で来たら詰むな…」と思ったシーンが何度もありました(笑)。
だからこそ、ここだけは実体験ベースでしっかり押さえておきたいポイントをまとめておきます。
● アクセス道路・林道について
- 事前に「道路状況」の情報をチェックするクセをつける
まず、公式サイトや予約ページ、口コミで「離合しづらい」「道が狭い」「穴が多い」「ガードレールなし」といったワードが出ていないかチェックします。
阿蘇や山都町、天草のキャンプ場は、最後の数キロがいきなり細い山道や林道になるパターンが多いので、ここをナメると本当に危ない。
僕はGoogleマップの航空写真やストリートビューも軽く見て、「これは暗くなる前に絶対着いておこう」とか判断しています。 - 日没前チェックインは“ほぼ必須ルール”だと思っておく
初見の山道を夜に走るのは、正直メリットゼロです。
・カーブミラーが見えにくい
・路肩や崩落跡に気づきにくい
・野生動物との鉢合わせリスクも上がる
と、リスクしかないので、「チェックイン時間ギリギリ」「日没ギリギリ」は避けたほうがいいです。
僕は秘境系に行くときは、どんなに遅くても日没の1時間前までに到着して、のんびり設営するようにしています。 - 車高の低い車は“引き返す勇気”も選択肢に
熊本の山道あるあるなんですが、途中からアスファルトが急になくなってガタガタの砂利道になることも珍しくありません。
車高が低い車で「まぁ行けるっしょ」と突っ込むと、マフラーやバンパーを擦ったり、最悪スタックしたり…。
「これはちょっと危ないな」と感じたら、近くの広い場所に車を停めて徒歩で向かうか、素直に引き返すのも大事な判断です。
● 焚き火ルール・直火について
- 直火OKを探すより、“焚き火台前提”で考えたほうが早い
ここ数年で、熊本のキャンプ場も直火禁止がほぼ標準になってきています。
中には条件付きで直火OKな場所もありますが、環境保全や山火事リスクを考えると、「基本すべて焚き火台+耐熱シート」で装備を組んでおいたほうが圧倒的に楽です。 - シーズンによっては“焚き火そのもの”がNGになることも
乾燥が続いたり強風予報が出ているときは、キャンプ場側が焚き火を全面禁止にすることもあります。
「焚き火しに来たのに…」という気持ちはわかりますが、山火事を出したらすべて終わり。
事前に公式サイトやSNSで情報をチェックして、現地のルールには絶対従いましょう。 - 林間サイトでは“落ち葉の掃除”が安全への第一歩
林間サイトは雰囲気最高なんですが、足元はだいたい落ち葉だらけ。
焚き火台を置く前に、半径1〜2mくらいの落ち葉をしっかりどけるだけで、火の粉によるボヤのリスクはかなり減らせます。
僕はいつも、小さいほうき代わりに軍手を使って、落ち葉をガサガサかき集めてから火をつけています。
● 装備・防寒・防災のポイント
- 「天気予報 −5℃」くらいの装備でちょうどいい
高原や山間部は、平地の天気予報より体感5℃くらい低いと思って準備するのが鉄則です。
特に茶屋の原や服掛松、井無田高原あたりは、夏でも朝晩にフリースが欲しくなるレベル。
僕は「迷ったら暖かいほう」を選ぶようにしていて、実際それで後悔したことは一度もありません。 - ライトとモバイルバッテリーは命綱レベル
秘境系キャンプ場は、場内に街灯がほぼない場所も多いです。
ヘッドライト+ランタンの2灯構成に加えて、モバイルバッテリーも多めに持っておくと安心。
スマホは“情報源兼GPS兼懐中電灯”でもあるので、バッテリー切れ=情報遮断だと思っていたほうがいいです。 - 「雨でも籠れるレイアウト」を前提にタープを張る
山の天気は本当に変わりやすくて、さっきまで星が出ていたのに突然雨、なんてことも普通にあります。
タープやシェルターは、最初からテント・チェア・テーブル・焚き火台がすべて“雨の射程外”に収まる配置を意識しておくと、急な雨でも「はいはい来たね」くらいのテンションでやり過ごせます。 - 河川沿いサイトでは、天気予報+水位情報をセットでチェック
熊本はこれまで何度も豪雨災害を経験していて、川の増水リスクは絶対に軽視できません。
河川沿いのキャンプ場に行くときは、通常の天気予報だけでなく、前日までの雨量や、気象庁・自治体の防災情報もざっと見ておくと安心度が全然違います。
僕は以前、とある川沿いのサイトで「まぁ今日は小雨だし大丈夫っしょ」と油断していたら、
夜中の2〜3時間で水位がグイッと上がってきて、慌ててタープ位置を変えたことがあります。
そのとき本気で「自然をナメたら一瞬でやられるな…」と反省しました。
静かなフィールドを楽しむためには、“ビビりなくらい慎重な準備”がちょうどいいと、今は心の底から思ってます。
● よく聞かれる質問(友だちからのDM版)
- Q. 秘境系ってやっぱり“上級者向け”? 初めてのソロで行ったら危ない?
- A. いきなりガチ秘境はおすすめしませんが、「設備が整った秘境寄り」なら全然アリです。
この記事で紹介したキャンプ場だと、茶屋の原や服掛松、井無田高原あたりは、設備も揃っていて管理人さんもいるので、
「ソロ数回目+基本道具が揃っている」なら十分楽しめます。
最初の1〜2回は、高速ICから1時間以内・街に近めの場所から慣れて、徐々に奥へ入っていくイメージが安心ですね。 - Q. 装備をどこまで揃えたら“秘境デビューしてOK”って言える?
- A. 僕の基準だと、
・雨風にしっかり耐えられるテント&タープ
・3シーズン+αくらいの寝袋とマット
・ヘッドライト+ランタン+予備電池 or モバイルバッテリー
・焚き火台+耐熱シート+火消しできる道具
・レインウェア、フリース or ダウン、手袋
このあたりが揃っていて、「雨&強風の中でも一晩過ごせるイメトレができている」なら、秘境系の入り口には立てていると思います。 - Q. 正直、“怖い”って感じたことない? それでもまた行きたくなる理由は?
- A. あります。
林道を走っていて「この先、本当にキャンプ場あるのか…?」と不安になったり、夜の山の静けさにゾワッとしたことも何度もあります。
それでもまた行きたくなるのは、「静かさの質」がまったく違うからです。
車の音も街の音も届かない場所で、焚き火の音と風の音だけが聞こえる時間って、街では絶対に手に入らないんですよね。
だからこそ、準備とリスク管理だけはしっかりやって、そのうえで思い切り“静寂のご褒美”を味わってほしいなと思っています。
6. 熊本ソロキャンプをさらに深めるQ&A(FAQ)
Q1. いちばん「静かに籠れる」シーズンはいつ?
A. 僕の体感でいうと、「平日」×「オンシーズンのスキマ時期」がいちばん静かに籠りやすいです。
具体的には、①ゴールデンウィーク明け〜梅雨入り前、②9〜11月の平日、③2〜3月の晴れた日あたり。
服掛松キャンプ場のソロ・デュオ向けフォレストサイト(公式サイト)や、茶屋の原キャンプ場の広大なフリーサイト(公式サイト)なんかは、
この時期の平日だと「テント同士がポツポツ見えるくらいの距離感」で張れることが多いです。
僕はよく、有給を1日ねじ込んで「月〜火」の1泊で入るんですが、下界が平日モードのときに山の上で焚き火してると、ちょっとした背徳感もあって最高ですよ(笑)。
Q2. 熊本で直火OKなキャンプ場はある?
A. 「ゼロではないけど、探すより最初から焚き火台前提で組んだほうが絶対ラク」っていうのが、ここ数年回ってきた結論です。
熊本県内のキャンプ場は、服掛松キャンプ場のように公式でしっかり「焚き火台使用・直火禁止」と明記しているところがほとんど。フリーサイト案内ページでも、直火は禁止と書かれています。
昔は「直火OKだからこのキャンプ場に行く」という選び方もありましたが、今は環境保全と山火事リスクを考えると、
・焚き火台
・耐熱シート
・火消しツボ or 消火用バケツ
まで含めて“焚き火三点セット”標準装備にしておくのがいちばんストレス少ないです。
直火の可否はシーズンやルール変更でコロコロ変わるので、「直火OKってネットに書いてあったから…」ではなく、必ず公式サイトや現地で最新情報を確認してください。
Q3. 秘境系キャンプ場は初心者でも大丈夫?
A. 正直に言うと、「キャンプ自体が初めて」の状態でいきなり秘境はおすすめしません。
でも、テント設営と焚き火の基本が身についていれば、段階を踏んで十分チャレンジできます。
僕が友だちに勧めているルートはこんな感じです。
- STEP1:アクセス良好な“都市近郊キャンプ場”で慣れる
例:阿蘇郡西原村の高遊原プレーンキャンパーズ。
熊本市中心部から車で約30分、阿蘇くまもと空港からも近い都市近郊型で、公式サイトや熊本県公式観光ページでも初心者やソロキャンプ女子にもおすすめと紹介されています。
まずはここや同クラスの“行きやすいキャンプ場”で、テント設営・撤収・焚き火・雨対応の基本を身につけるイメージです。 - STEP2:“ちょっと奥まった”高原系キャンプ場に挑戦
茶屋の原キャンプ場(公式)や服掛松キャンプ場(公式)のように、
アクセスは少し山道になるけど、設備や管理体制がしっかりしているキャンプ場を選ぶと、“秘境の入り口”としてちょうどいいです。 - STEP3:林道&山道アリの“秘境寄りキャンプ場”へ
道路状況を事前チェックして、日没前に着けるスケジュールを組めるようになったら、ようやく秘境系解禁。
ここまで来ると、この記事で紹介しているような阿蘇・天草・球磨の“本気の穴場”もだいぶ現実的になってきます。
こんな感じでステップアップ型で行けば、初心者でも無理なく秘境デビューできますよ。
Q4. ソロキャンプ中に寂しくなったらどうする?
A. これ、めちゃくちゃ聞かれます(笑)。
僕も最初のころは、夜になると「うわ、静かすぎて逆に落ち着かない…」ってなる瞬間がありました。
そのときに試して、いまでもやっているのが「炎に全集中する」ってやつです。
やり方はシンプルで、
・薪が崩れる音
・炎の揺れ方
・煙がどっちに流れているか
この3つだけを、意識してじーっと眺め続ける。
5分くらい経つと、頭の中のモヤモヤがだんだん薄まってきて、「寂しい」より「静かで心地いいな」という感覚が勝ってくるんですよね。
どうしても不安なときは、
・Wi-Fiのあるキャンプ場(服掛松キャンプ場など:公式)を選んでおく
・家族や友人のLINEグループに「今ここで焚き火してるよ」と写真を一枚送る
みたいに、「いつでも人とつながれる保険」を用意しておくと、心のハードルがグッと下がります。
それでも不安なら、最初の数回は“ソロ同士が多いキャンプ場”を狙って、「一人だけど、一人じゃない」雰囲気から慣れていくのも全然アリです。
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9. まとめ|静寂の中で、焚き火は“本当の自分”を映し出す
ここまでいろんなフィールドを挙げてきたけれど、正直に言うと、僕自身まだ「全部知り尽くした」なんて口が裂けても言えません。
それくらい、熊本には地図や検索結果だけでは出てこない“ソロキャンパーの隠れ家”が、まだまだゴロゴロ眠っています。
たとえば、阿蘇の谷間に広がるフリーサイトが気持ちいい
・茶屋の原キャンプ場(公式サイト)
高原の風がテントを抜けていく、標高600mクラスの
・服掛松キャンプ場(公式サイト)
山頂から海と山を一望できる天草の展望系キャンプ場
・竜洞山みどりの村キャンプ場(公式サイト)
どれも、一度テントを張ってしまうと「あ、ここはまた戻ってきたいな」と思わせる何かを持っています。
静かな夜、テント一張り、焚き火ひとつ。
僕がソロで熊本に入るときは、いつもこの“最低限セット”だけをイメージしてフィールドを選びます。
「誰にも気づかれず、ただ焚き火を眺める。」
それがちゃんとできる場所かどうか。基準はそれだけと言ってもいいくらいです。
実際、茶屋の原で月明かりの夜に焚き火をしていたときも、服掛松のフォレストサイトでフクロウの声を聞きながら寝落ちしかけたときも、
竜洞山のみどりの村で、不知火海に沈んでいく夕日をただボーッと眺めていたときも、頭の中にあったのは仕事のことでも締切でもなくて、
「あ、今ちゃんと“自分の時間”を取り戻してるな」っていう、すごくシンプルな実感でした。
焚き火の炎って、悩みを消してくれるわけじゃないけれど、
「まぁ、どうにかなるか」と思えるくらいには、心の温度を整えてくれるんですよね。
炎を見つめているうちに、仕事のモヤモヤも日常のノイズも、だんだんと輪郭がぼやけていって、
最後に残るのは「今ここにいて、火を育てている自分」だけになる。
僕はその感覚が好きで、何度も熊本の山や海に通っています。
もし今、あなたがどこかで
「一回ちゃんと、静かに籠って心をリセットしたい」
と感じているなら──それはもう、フィールドに呼ばれているサインだと思っていいです。
阿蘇の谷間、高原の風が抜ける丘、天草の海を見下ろす山頂。
熊本のどこかに、きっとあなたのための焚き火の場所が待っています。
このガイドが、その場所にたどり着くまでの“地図の一枚目”になれたら、アウトドアライターとしてこれ以上うれしいことはありません。
次の休みは、ぜひ熊本のどこかで、一人分の火を起こしてみてください。
- 竜洞山みどりの村キャンプ場 公式サイト
天草市新和町にある「竜洞山みどりの村キャンプ場」の公式サイト。標高約400mの山頂エリアに位置し、不知火海と九州本土を一望できるロケーションが特徴。オートキャンプサイトやフリーテントサイト、バンガロー、ケビンなど宿泊施設の種類や、料金・利用案内・イベント情報が掲載されており、山頂キャンプ特有の風や気温を意識した事前準備の参考になる。 - 白嶽森林公園キャンプ場|上天草市公式サイト
上天草市が運営する白嶽森林公園キャンプ場の公式情報ページ。バンガロー棟数、常設テント数、フリーのテントサイト区画数に加え、山頂への登山道や公園内の遊歩道、周辺の自然情報がまとまっている。森と山を楽しむソロキャンプの拠点として、設備やロケーションの概要をつかむのに最適。 - 諏訪公園キャンプ場|上天草市公式サイト
諏訪海水浴場に隣接する諏訪公園キャンプ場の公式案内ページ。持ち込みテントサイトの規模、トイレ・シャワー・更衣室などの設備、海水浴シーズンの利用ルールなどが確認できる。波音を聞きながら過ごせる海辺サイトとして、静かなロケーションや海遊びとの組み合わせを検討する際の基本情報になる。 - 井無田高原キャンプ場|山都町観光情報サイト
山都町が提供する井無田高原キャンプ場の公式情報。井無田池を中心とした高原キャンプ場であることや、サイト構成、標高・気候の特徴、アクセスが整理されている。高原&湖畔のハイブリッドフィールドとして、夏場でも涼しい環境や周辺観光(清和高原天文台など)をチェックするのに役立つ。 - 高遊原プレーンキャンパーズ 公式サイト
熊本市街地や阿蘇くまもと空港からアクセスしやすい、高遊原プレーンキャンパーズの公式サイト。初心者やソロキャンパー向けの設備が整った都市近郊キャンプ場として、サイトの種類、料金、レンタル品、場内ルールなどが詳しく掲載されている。秘境系キャンプ場へステップアップする前の“練習フィールド”として位置づけやすい。
※本記事の内容は執筆時点の情報をもとにしています。
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