海キャンプ用ギア選びとメンテ術|塩害・サビに強い装備ガイド(完全保存版)

キャンプ用品メンテナンス

海キャンプの記事を出すたびに、だいたい同じ質問が飛んできます。
「山の道具そのまま持って行って大丈夫ですか?」「塩でギア死にません?」って。

結論から言うと、山ギアのままノーメンテで海に突撃すると、高確率でどこかがサビます。
僕も20代でアウトドアメーカーに勤めていた頃、テストを兼ねて海沿いフィールドをあちこち回っていて、
お気に入りのランタンスタンドを一発で赤サビまみれにしたことがあります。
「あ、海って本気出すとこんなに道具を削ってくるんだ」と痛感したのは、あのときでした。

ただ、安心してほしいのはここから。
ちゃんと素材を選んで、帰ってきた日に10〜15分だけ“海用メンテ時間”を確保すれば、海キャンプは全然怖くないんです。
むしろ、山では絶対に出せない「潮+焚き火の匂い」というご褒美を、毎回ギアと一緒に持ち帰れるようになります。

この記事では、アウトドアメーカー勤務時代から今まで、全国の海沿いキャンプ場・テストフィールドでギアを酷使してきた僕の失敗と成功の記録をベースに、
「海キャンプ用ギアの選び方」と「サビさせないためのリアルなメンテ術」を、キャンパー目線でがっつりまとめました。

「本当は海キャンプしたいけど、ギアが錆びるのが怖いんだよな…」とブレーキを踏んでいた人も、
この記事を読み終わる頃には、きっと玄界灘レベルの潮風にもビビらない装備の組み方がイメージできているはずです。

海キャンプは何が違う?山との“環境差”を先に知っておく

塩・風・砂。この3つがギアに襲いかかる

まずは前提の整理からいきましょう。
「山と海、フィールドが違うだけでしょ?」と思っていると、ギアのダメージを完全に読み間違えます。

海キャンプで本気を出してくるのは、この3つ。

  • 塩:目に見えないレベルの塩分が、金属パーツやファスナーにびっしり付着。
    放置すると気づいたときには赤サビ爆誕、ってパターンが本当に多いです。
  • 風:特に外洋に面したエリアは、突風+風向きの急変が山よりもエグい。
    同じ「風速10m」でも、海沿いで受ける体感はぜんぜん違います。
  • 砂:ファスナーや可動部に入り込むと、「ジャリジャリ削りながら動く」地獄モード
    焚き火台の脚・チェアの関節・リール付きの小物は要注意です。

山キャンプでも風や砂はもちろんあるけれど、
海ではここに「常に塩がセット」で付いてくるのが決定的な違いです。

僕も20代の頃、山用セットのまま玄界灘沿いのサイトに突撃して、

  • スチール製ランタンスタンド → 一晩でうっすら赤サビ
  • スチールペグ → 乾く前にケースへ直行 → 数日後にまとめて茶色
  • 愛用バーナーのノブ周り → 塩+砂で「ん?なんか動き渋いぞ?」

みたいな洗礼をまとめて食らいました…。
当時の僕に一言アドバイスできるなら、間違いなく「お前、それ海ってことちゃんと理解してる?」ですね。

この経験を踏まえて、いま僕がギアを見るときの基準は、かなりシンプルです。

  • 「カッコいいから買う」 → 「潮と風を浴びても戦える素材か?」
  • 「軽いから山で便利」 → 「軽さ+強度+塩への強さのバランスはどうか?」

この視点に切り替えるだけで、海キャンプ特有の“ギアの寿命を縮める失敗”はかなり減ります

“海用ギア”は、全部専用品にしなくていい

よく相談されるのが、

「海キャンプ用に、道具を全部別で揃えたほうがいいですか?」

結論から言うと、全部専用品にする必要はまったくありません。
ポイントを絞って「海用」を分ければ十分です。

僕が実際にやっている切り分けはこんな感じ。

  • 錆びやすくて塩のダメージをモロに受けるもの
    → 焚き火台・ペグ・スタンド類・ラックなどの金属むき出し系は、できれば海用セットを別で用意。
  • テント・タープ・チェア・テーブル
    → 基本は山と共用でOK。その代わり、海から帰った日にしっかりメンテする前提で使う。

全部「海専用」にしようとすると、お財布が一瞬で干上がります。
なので、まずはダメージを受けやすい金属パーツから優先的に“海用”へまわすのがおすすめです。

たとえば僕の装備だと、

  • 焚き火台:海はステンレス or チタン、山はスチール+お気に入りの重いモデル、みたいに使い分け。
  • ペグ:海は鍛造ペグ+多少サビても諦めがつくセットを常備。
    山ではアルミやチタンの軽量ペグをメインに。
  • ランタンスタンド・ポール:海で使うものはステンレス or アルマイト処理されたアルミを選び、
    帰宅後に必ず真水シャワー+拭き上げをルーティン化。

逆に、テントやタープは「山用」「海用」で完全に分けてはいません。
生地に直接サビが出るわけではないので、

  • 帰ってきた日に砂を落とす・しっかり乾かす
  • ポールの連結部をときどきチェック&軽く拭く

この2つさえサボらなければ、普通に併用できます。

このあと詳しく書いていきますが、「海用ギアを何買うか」以上に大事なのは、「帰ってきてから何をするか」です。
そこさえ押さえておけば、玄界灘クラスの潮風でも、ギアを長く付き合える相棒のまま連れて行けます。

海キャンプ用ギアの選び方|サビにくい素材と相性を知る

焚き火台:ステンレス or チタンを“前提”に考える

海キャンプで真っ先にダメージを食らうのは、ほぼ間違いなく焚き火台です。
潮風+高温+湿気というギアいじめ三兄弟を一身に受けるポジションなので、素材選びをミスると本当に寿命が縮みます。

僕も20代の頃、山用に買ったお気に入りのスチール焚き火台を玄界灘沿いに連れて行って、
「まだ2回目なのに、このサビの量ってマジか…?」と、軽く膝から崩れ落ちたことがあります。

それ以来、焚き火台に関しては完全にこう割り切りました。

  • ステンレス製:
    ・サビに強く、価格も現実的。
    ・多少重くても、「海用1台」として考えるならバランスはかなり良い。
    ・板厚がペラペラすぎないモデルを選ぶと、熱歪みも少なく長持ちします。
  • チタン製:
    ・超軽量でサビにも強い。ただし値段はしっかり高い(笑)。
    ・ソロ用の小型チタン焚き火台を「玄界灘用の相棒」として一台決めてしまうのは、個人的に激しくおすすめ。
  • スチール製:
    ・山だけで使うなら全然アリ。でも海に持ち出すと、一気にサビ候補筆頭に…。
    ・どうしてもスチールを海で使うなら、「海用」と割り切る+使用後のメンテをルーティン化する覚悟が必要です。

今の僕は、かなりシンプルにこう運用しています。

山:スチール含め何でもOK/海:ステンレス or チタンのみ

メーカー側も、ステンレスやチタンの耐食性についてはしっかり技術情報を出していて、
ステンレス協会やチタン協会のデータを見ても、塩害環境での耐久性の違いははっきり数値に出ています。
(興味ある人は「ステンレス 耐食性」「チタン 耐食性」あたりでググってみると資料ゴロゴロ出てきます)

とはいえ、そこまで専門資料を読み込まなくても、「海ならステンレスかチタン」というざっくりルールを持っておくだけで、だいぶ失敗は減ります。

ペグ&スタンド類:安物スチールは一瞬で赤サビ要員

次にやられがちなのが、ペグやスタンド類、テーブルの脚まわりです。

海キャンプ初心者あるあるが、

  • 「まあペグくらい大丈夫でしょ」
  • 「ランタンスタンドなんて濡れても平気平気」

と油断して、数日後にケースを開けたら「あれ、これ茶色い粉出てない?」というパターン。

僕も一度、ペグケースを開けた瞬間に「鉄工所の床かな?」ってレベルの赤サビを見て、しばらく無言になったことがあります。

なので今は、こんな感じで線引きしています。

  • ペグ:
    ・鍛造スチールペグは強度最強だけど、海ではサビやすいのも事実。
    ・海用にはステンレスペグアルミ製ソリッドペグを混ぜて運用するのがおすすめ。
    ・どうしても鍛造メインで行きたいなら、「海帰り=ペグ洗いの日」とセットで覚えておく。
  • ランタンスタンド:
    ・スチール製は、正直、海1~2回でうっすらサビが出始めます。
    ・僕はアルミ製 or ステンレス製を海用として一本キープして、山と兼用しています。
  • テーブル脚:
    ・パイプの継ぎ目や内側に塩+水が入り込むと、気づかないうちに内部でサビが進行。
    ・海キャンプから帰ったら、脚を伸ばした状態でしっかり乾かすのをマストにしています。

基本スタンスとしては、

  • 「絶対サビさせたくないお気に入り」→ 山専用
  • 「多少味が出てもまあ許せる」+ステンレス多め → 海用セット

という切り分けが、一番ストレス少ないと思います。

海キャンプを始めたばかりの頃は、全部を大事にしすぎて逆に疲れてたんですが、
「海で戦うチーム」と「山で可愛がるチーム」に分けて考えるようになってから、だいぶ気がラクになりました。

クッカー・カトラリー:アルミ・チタン・ステンレスの使い分け

意外と見落とされがちなんですが、クッカー周りも塩分の影響をガッツリ受けます。
海水でパスタ茹でたり、海鮮をガンガン焼いたりするエリアなので、むしろサビやすいパーツのひとつです。

ざっくり素材ごとの特徴を整理すると、こんな感じ。

  • アルミ:
    ・軽くて扱いやすく、山では超優秀。
    ・ただし、表面の加工やコーティングが弱いモデルだと、傷から腐食が進みやすいことも。
    ・海でガシガシ使うなら、ハードアノダイズド(硬質アルマイト)加工など、コーティングがしっかりしたものを選びたいところ。
  • ステンレス:
    ・サビに強く、直火や焚き火にも強い頼れるやつ。
    ・その代わり、アルミより重さは確実に出る
    ・海キャン+焚き火調理メインなら、ステンレスクッカーはかなり安心感が高いです。
  • チタン:
    ・軽い・強い・サビに強いの三拍子。ただし、お値段もそれなり。
    ・でも、マグカップやソロ用クッカーをチタンにしておくと、海でも全然気を使わず使えます。

いろいろ試した結果、今の僕の海セットはこんなバランスに落ち着いてます。

  • マグカップ&シングルバーナー用クッカー:チタン
  • 焚き火でガンガン使う鍋・フライパン:ステンレス or 鉄
  • カトラリー:チタン or ステンレス(プラではなく金属派)

チタンは正直、高い。高いんだけど、
「毎回潮を浴びるポジションの道具ほど、チタンにしておくと気がラク」なんですよね。

もちろん、全部いきなり買い換える必要はなくて、

  • まずはマグだけチタンにする
  • 次のステップでソロクッカーもチタンにする

みたいに、「海で酷使されるアイテムから順にアップデートしていく」のが現実的かなと思います。

逆に、「これは山に連れていきたい大事なアルミセットだな」と感じるクッカーは、
最初から山専用にして海には連れて行かないという判断も全然アリです。

どの素材が正解、というよりは、

  • 「どのギアを海で戦わせるか」
  • 「どのギアは山で長く可愛がるか」

この住み分けを考えるのが、海キャンプ用ギア選びの一番おもしろいところかもしれません。

海キャンプのメンテ術|“4ステップのルーティン”でギアを守る

ここからが本題です。
「海キャンプって、帰ってから何すればいいんですか?」とよく聞かれるんですが、正直、やること自体はそんなに多くありません。
大事なのは、勢いで全部玄関にブチ込んで寝ないことだけです(笑)。

僕は20代の頃、それをやってランタンスタンドとペグ類を一気にダメにしました。
それ以来、海から帰ったあと用に“4ステップのルーティン”を決めていて、これを守るようになってから、ギアのサビ問題はかなり落ち着いてます。

順番にいきましょう。


STEP1:撤収前|真水でざっくり塩を落とす

現地でやるべきことは、「ピカピカにすること」じゃなくて「塩と砂をざっくり落としておくこと」です。

僕がいつもやっているのは、このあたり。

  • ペットボトルの水を2本くらい「洗い用」にキープしておく(飲み水とは別枠)
  • 焚き火台・ペグ・スタンド・ランタンスタンドなどの金属ギアをざーっと流す
  • テーブル脚やチェアの関節についている砂を、手かブラシでサッと払う
  • テント・タープのファスナー部分の砂だけは、このタイミングで絶対落としておく

完璧じゃなくていいです。本当に「ざっくり」でOK。
ここで塩と砂を一回落としておくだけで、家に帰ってからのメンテが3割くらいラクになります。

焚き火台のしつこい焦げや油汚れについては、メーカーや専門サイトが詳しいお手入れ方法を出しているので、
使っているブランドがあれば一度公式のメンテナンス情報もチェックしておくと安心です。


STEP2:家に着いたら|荷ほどきより先にギアを干す

次の山場は「帰宅直後」です。
キャンプから帰ってきたときって、全力でこうなりません?

車から荷物を降ろす → とりあえず玄関に積む → シャワー → ビール → 爆睡

気持ちはめちゃくちゃ分かる。僕も昔は完全にこれでした。
で、翌朝に玄関を見て後悔するところまでがセットです(笑)。

今は、どれだけ疲れていても最優先でこれだけはやると決めています。

  • テント・タープ
    ・可能ならその日のうちにフル乾燥(天気が悪ければ部屋干しでもOK)
    ・インナーテントも、濡れていれば一度出して乾かす。
  • 焚き火台
    ・一度バラして、水気を拭き取る
    ・そのままベランダや風通しのいい場所に開いた状態で放置
  • ペグ・スタンド類
    ・キッチンやベランダで真水シャワーをかけて塩を落とす。
    ・タオルでざっと拭いて、できるだけバラした状態で乾かす

僕はこれをまとめて「帰宅後30分ミッション」と呼んでいて、
ビールはこの30分が終わってから開けるって自分ルールにしています。

慣れてくると、「早く干し終わらせてビール飲みてぇ」という謎のモチベーションが湧いてきて、逆に続けやすいです。


STEP3:乾いたら|オイルとブラシで“防サビ仕上げ”

しっかり乾いたら、最後に防サビの仕上げをしておきます。
ここをやるかどうかが、「数年戦えるギア」になるか「2〜3回でサビ始めるギア」になるかの分かれ目です。

  • ナイフ・斧・ペグなどの金属
    ・乾いた状態で、薄くオイルを塗る
    ・僕は椿油か、アウトドア用の防錆オイルを布に含ませてサッとなでています。
    ・塗りすぎるとベタつくので、「うっすら光る程度」で十分。
  • ファスナーまわり
    ・テントやタープのファスナー部分は、まずブラシで砂をしっかり落とす
    ・そのあと、必要に応じてシリコンスプレーや専用のファスナー潤滑剤を使うと長持ち。
  • ランタンスタンド・ポール
    ・一度全部伸ばした状態で、継ぎ目やロック部分をチェック。
    ・砂が噛んでいそうなら、濡れタオル or 筆付きブラシで落としてから、軽くオイル or シリコンスプレー。

「めんどくさそう…」と思うかもしれないけど、やってみると全部合わせて10〜15分レベルです。
この10分をサボって、あとで一式買い直すほうがよっぽど高くつきます。

お手入れの基本は、国内メーカーも公式で詳しいガイドを出しています。
レインウェアやテントのメンテはモンベル、金属ギアの扱いは各ブランドの取扱説明書も参考になるので、
自分が使っているメーカーのメンテナンスページは一度ブックマークしておくと安心です。


STEP4:“海用ボックス”を作って管理する

最後の仕上げは、「海用ギアボックス」を一個つくること。

僕の場合、無印かホームセンターのコンテナをひとつ決めて、そこに

  • ステンレス or チタンの海用焚き火台
  • 海でも使うペグ・ランタンスタンド・テーブル脚まわり
  • サビても諦めがつく予備ギア(旧モデルの鉄ペグなど)
  • 簡単なメンテ用セット(ウエス・ミニブラシ・小分けのオイル)

をまとめて放り込んでいます。

こうしておくと、次に海に行くときは、

  • 「このボックス+いつものテント・タープ・チェア」

と覚えておけばいいだけなので、準備が一気にラクになります。

同時に、山用ギアボックスと混ざらないようにしておくと、
「これは海に連れて行っていいやつか?」という判断も自然と身についてきます。

僕は、

  • 山用ボックス:お気に入り・軽量・デリケート寄りのギア
  • 海用ボックス:ステンレス・チタン多め+ちょっとやれても味になるギア

という感じで分けていて、
パッキングのときに「今日はどっちのボックスをメインで使うか」を決めるだけにしています。

ここまで読んで、
「うわ、なんか大変そう」と感じたかもしれませんが、実際にやるとどれもルーティン化すれば余裕でこなせるレベルです。

その代わり、この4ステップを習慣にしておくと、
潮風+焚き火+砂という、ギアにとってはまあまあ過酷な環境でも、
お気に入りの道具たちと長く付き合っていけます。

そして何より、しっかりメンテしたギアを次の海キャンプで取り出したときの、
「よし、今年も戦えるな」ってあの感じ。
あれも含めて、海キャンプの楽しさだと僕は思っています。

初めての海キャンプ向け|“これだけは海仕様にしておきたい”チェックリスト

最低限、海用にしておきたいもの

「海キャンプ行ってみたいけど、全部海専用で揃えるのはキツい…」
って相談、めちゃくちゃ多いです。で、僕がいつも答えているのがこれ。

全部を海仕様にする必要はない。まずは“ダメージを一番受けるところ”だけ海装備にしよう。

具体的には、このあたりが「最低限、海用にしておきたいラインナップ」です。

  • ステンレス or チタンの焚き火台
    山用のスチール焚き火台をそのまま海に連れていくと、マジで一瞬でサビ候補になります。
    僕は一度、山と海を兼用してたスチール焚き火台を玄界灘に3回連れて行った結果、
    4回目の設営で「脚、動かなくね?」ってなりました…。
    海によく行くなら、ステンレス or チタンの焚き火台を1台「海担当」として決めておくのがおすすめです。
  • サビに強い素材を混ぜたペグセット
    ペグケースを開けた瞬間に、赤サビまみれのペグがゴロゴロ出てきたときの絶望感は、ほんとに一回で学習します(笑)。
    鍛造ペグは強いけど海だとサビやすいので、ステンレスペグやアルミペグを混ぜた「海用ペグセット」をひとつ組んでおくと安心です。
    「全部ステンレスにする」じゃなくて、よく使う本数だけでも海仕様にしておくイメージでOK。
  • アルミ or ステンレスのランタンスタンド
    僕が20代で一番後悔した海キャンプギアは、スチール製のランタンスタンドです。
    1回目でうっすら、2回目で関節部にガッツリ赤サビ…。
    なので海に持っていくスタンドは、アルミ or ステンレス製のものを一本決めておくのがおすすめ。
    山でも普通に使えるので、ここは投資する価値アリです。
  • ステンレス or チタンのマグ&クッカー
    海キャンプって、パスタを海水で茹でたり、魚介をガンガン焼いたりするじゃないですか。
    つまり「塩を直接くらう時間が長い道具」でもあります。
    マグとソロ用クッカーだけでも、ステンレス or チタンにしておくとサビストレスが激減します。
    僕も最初に海仕様にしたのはチタンマグで、「もっと早く買えばよかった」と心底思ったアイテムです。
  • ギア拭き用のタオル数枚+ペットボトルの水
    海キャンプは、「その場でざっと塩を落としておけるかどうか」が勝負です。
    専用の高級クロスじゃなくていいので、古いタオル数枚と500ml〜1Lくらいの「洗い用の水」を常にキープしておくと、撤収が一気にラクになります。
  • オイル・防錆スプレー・ブラシなどの簡易メンテ道具
    ・小さいブラシ(歯ブラシでもOK)
    ・ウエス(使い古しのTシャツカットで十分)
    ・椿油やミネラルオイル、防錆スプレーなどを小分けにしておく
    これを「海用メンテポーチ」としてコンテナに突っ込んでおくと、帰宅後のケアが一気に習慣化します。

この6項目が揃っていると、「とりあえず海に連れて行っても大ダメージは食らわない最低ライン」はクリアできます。


「山用そのままでもOKだけど、メンテ必須」なもの

逆に、よく聞かれるのが、

「テントとかタープって、海用で分けたほうがいいですか?」

これに関しては、僕の答えはいつも同じです。

分けなくていい。でも、帰ってきた日のメンテをサボらない前提で。

山用そのままでもOKだけど、海のあとだけはちゃんとケアしてほしいものを挙げると、こんな感じになります。

  • テント・タープ
    ・海仕様に分ける必要まではないけど、絶対に「しっかり乾燥」はセットにしてください。
    ・特にタープは、潮風を一番浴びるポジションなので、帰宅後に完全乾燥させないとベタつき・カビの原因になります。
  • チェア・テーブル
    ・フレームの中に塩+水が入っていることが多いので、脚を伸ばした状態でしっかり水分を切るのが大事。
    ・布部分は、潮風のベタつきが気になるなら、固く絞ったタオルで一拭きしておくとサッパリします。
  • クーラーボックス
    ・意外な盲点が、パッキン部分の塩と砂
    ・ここに砂が残っていると、密閉性が落ちたりパッキンの劣化を早めたりします。
    ・海のあとは、パッキン周りと排水口を重点的に真水で洗うのがおすすめです。

このあたりのギアは、「山と海の兼用でOK。ただし、海のあとだけメンテを一段階厚くする」という扱いで十分戦えます。


いきなり全部を完璧な「海仕様セット」にする必要はなくて、

  • まずは焚き火台とペグだけ海仕様にする
  • 次のステップでマグ&クッカー、スタンド類も海OKなラインナップにしていく

みたいに、ダメージが大きい場所から順番にアップデートしていけば大丈夫です。

僕も最初の数年は、

  • 1年目:焚き火台だけステンレスに
  • 2年目:ペグとランタンスタンドを海セット化
  • 3年目:マグとクッカーをチタン&ステンレスに乗り換え

という感じで、少しずつ“海用ギアチーム”を育てていきました。

そのくらいのペース感でも、ちゃんとメンテさえしていれば、
玄界灘レベルの潮風にも負けないギアセットはじゅうぶん組めます。

よくある質問(Q&A)|海キャンプギア編

Q. 高いギアは海に持っていかないほうがいいですか?

A. これは僕もよく聞かれるんですが、まず結論から言うと、「絶対にサビさせたくない一本」だけは山専用に回しておくのが安心です。
たとえば、記念モデルのランタンとか、一生モノとして買った斧とか。「これは絶対にダメージ入れたくないな」と自分で分かるギアは、最初から海メンバーから外しておきましょう。

そのうえで、どうしても海で使いたい高いギアがあるなら、

  • ステンレス・チタンなど、塩に強い素材かどうかチェックする
  • 海から帰った日に、今回紹介したメンテルーティンを即実行する

この2つを徹底すれば、実用上はそこまでビビらなくて大丈夫です。
実際、僕もチタンマグやステンレスの高めの焚き火台は普通に玄界灘に連れていってますが、帰宅後の「真水洗い&完全乾燥&オイルちょい塗り」をサボらないようにしてからは、致命的なサビには一度もなっていません。

Q. 何回くらい海に行ったらサビが出始めますか?

A. これは素材+メンテ具合+使い方の三つ巴なんですが、あえてざっくり言うと、

  • スチール製ギア+ノーメンテ
    → 早ければ1〜2回の海キャンプで、ネジ周りや角からうっすら赤サビが出始めても全然おかしくないです。
  • ステンレス・チタン+最低限の水洗い・乾燥
    → 見た目の「味」は出てきますが、数シーズン海に連れて行っても、致命的なサビにはなりにくいです。

僕の失敗パターンでいうと、昔、

  • スチールペグを海で使用
  • 撤収時に軽く砂だけ払ってケースにIN
  • 家でそのまま2週間放置

という「やってはいけない三段コンボ」を決めた結果、次にケースを開けたときには半分くらい茶色い鉄の塊になっていました…。

逆に、今のやり方(現地で真水ざっと洗う → 帰宅後すぐ乾燥 → 必要ならオイル)に変えてからは、
同じく海に何回も連れて行っている鍛造ペグでも「ちょっと色がくすんできたかな」くらいで止まっています。

なので、「何回でサビるか」より「何回ノーメンテで放置したか」のほうが、実はよっぽど重要だったりします。

Q. 塩害が怖いので、やっぱり山だけにしておいたほうが…?

A. これに関しては、全力で「それはもったいない!」と伝えたいです。
もちろんギアは大事なんだけど、塩とサビを怖がりすぎて海キャンプを全部スキップするのは、かなり損してると思います。

僕自身、山キャンプからスタートして、そのあと日本海側・太平洋側・玄界灘沿いといろんな海フィールドを回りましたが、

  • 潮風+焚き火の匂いが混ざった夜
  • 海に沈む夕日を見ながらのコーヒー
  • 朝イチの、少しベタついた空気の中で飲む一杯の水

こういう時間って、山ではどうやっても再現できないんですよね。

もちろん、ギアを雑に扱っていいわけじゃなくて、今回の記事で書いてきたように、

  • 「海用にしておくべきギア」を少しずつ揃える
  • 海帰りの“4ステップメンテ”をルーティン化する

この2つさえ押さえておけば、塩害を必要以上に恐れる必要はありません。
ギアを守りつつ、潮風と焚き火の匂いも全力で取りにいきましょう。

山での静かな焚き火も最高ですが、海の前で火を囲んだ夜は、それはそれで別腹の一皿です。
せっかくキャンプをやっているなら、その味も一度は知っておいてほしいな、と本気で思っています。

まとめ|ギアを守れれば、海キャンプはもっと自由になる

海キャンプって、正直に言うと山よりちょっとだけギアに厳しいフィールドです。
塩も風も砂も遠慮なく攻めてくるし、「何も考えずに山用セットのまま突撃!」をやると、僕みたいにランタンスタンドとペグ一式を一晩でダメにします(笑)。

でも、その経験を何度かくぐってきて今思うのは、
「海キャンプは、道具との付き合い方がいちばん上手くなる場所」だということです。

  • 塩・風・砂という“環境差”をちゃんと理解する
  • ダメージを受けやすいギアだけでも、海用メンバーとして分けておく
  • 帰宅後の10〜30分を、“ギアにお礼を言う時間”としてルーティン化する

この3つさえ押さえておけば、
あなたの焚き火台も、ペグも、ランタンスタンドも、
玄界灘クラスの潮風のなかで何度でも一緒に戦ってくれる相棒になってくれます。

実際、僕の海用ステンレス焚き火台は、玄界灘・日本海・太平洋といろんな海を回ってきたけれど、
「現地で真水ざっと」「帰宅後30分メンテ」を続けているおかげで、いまだに現役バリバリです。
開くたびに、「お、まだまだいけるな。次はどこの海に連れていく?」って、ちょっとニヤッとします。

海も山もキャンプも、もちろん正解はひとつじゃないです。
高級ギアを眺めてニヤニヤするのも、安くてタフな道具をガシガシ使い倒すのも、どっちも楽しい。

ただ、その中で僕がいちばん大事にしているのは、

「自分がいちばん気持ちよく焚き火を囲めた夜を、どれだけ増やせるか」という感覚です。

そのための手段として、
海仕様のギア選びと、ちょっと手をかけたメンテ術をうまく使ってもらえたら、
アウトドアライターとしては本当にうれしいし、なによりあなた自身の海キャンプの自由度が一気に上がるはずです。

「よし、次は風が強い日のタープも攻略したいぞ」という人は、
内部リンクで紹介している
「強風キャンプのタープ設営テクニック」の記事も、ぜひ続けて読んでみてください。
塩とサビの不安が消えて、風とも仲良くなれたら──
もう玄界灘の海辺は、あなたのホームフィールドみたいなもんです。

タイトルとURLをコピーしました